灯台を見に行くと馬がいた(東通村)
青森県の下北半島に『日本の灯台50選』に選ばれている灯台「尻屋埼灯台」があると知り、行ってみた。
わくわくしながら訪れたのだが、早朝だったため灯台は朝霧に包まれていた…
「日本の灯台50選」に選ばれている灯台なので、はっきりとした全体像が見たくてしばらく待っていたが、霧は晴れそうになかったので、あきらめることにした。
灯台を見に来たのに、全貌が見れなかった点は心残りだったが、霧の中に立つ灯台の雰囲気は良かったし、代わりに「
尻屋埼灯台と寒立馬
灯台を見に来て知ったことだが、尻屋埼周辺は馬の放牧地となっている。
そこに灯台があるといった感じで、灯台の建つ敷地周辺だけ馬が入れないように塀や柵などが設けられていた。
灯台の近くには馬の親子がいたが、馬は人馴れしていて逃げる様子もなく、のんびりとくつろいでいた。
馬を横目に灯台の敷地へ入ってみたが、尻屋埼灯台についての説明板があり、次のように書かれていた。
尻屋埼(しりやさき)灯台
この灯台は、明治9(1876)年10月に設置されたレンガ造灯台で設置当時の姿を留めております。
日本の灯台50選に選ばれました。
第二管区海上保安本部
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霧が濃くてよく見えなかったが、灯台は思っていた以上に大きかった。
また、レンガ造り部分を見たかったが、残念ながらよく見えなくてわからなかった。
朝霧の中にいる寒立馬
灯台周辺を見回すと遠くに寒立馬の群れを見つけた。
日本古来の馬だと体格は小さめだが、寒立馬は改良されているため、体が大きい。
そのため、近距離にいるとちょっと怖く感じて、灯台の近くにいた親子の馬とは距離をとっていたが、遠くにいた馬の群れはのんびりと草をはんでいるようで、和やかな雰囲気で良かった。
あとで調べてみてわかったが、下北半島は広い範囲の国定公園となっていて、ニホンカモシカ、ツキノワグマ、最北のニホンザル、キツネなどたくさんの生きものたちがいるという。
寒立馬は半野生動物だが、のんびり暮らしている姿を見ると、下北半島国定公園は豊かな自然が多く残っている貴重なところだと思った。
尻屋崎への入口
ところで、尻屋埼灯台までの道だが、寒立馬が放牧されているので、馬が車道を横断することもある。
しかし、放牧といっても無制限に移動できるわけではなく、入口にはゲートが設けられているし、寒立馬が抜け出せないようになっていた。
気になるゲートだが、タイマーセットされていて、07:00~17:00で作動していると書かれていた。
このゲートをくぐると灯台まで道が続いているが、車道に馬糞があったりするので注意が必要だ。
尻屋崎の案内板
ゲートの近くには説明板あり、次のような内容が書かれていた。
国定公園 下北半島 尻屋崎と寒立馬
尻屋埼灯台
日本の灯台50選
本州最北東端尻屋崎の突端に立つ白亜の灯台。明治9年10月20日に東北地方に初の洋式灯台として完成した。尻屋埼灯台は、歴史的にも文化的にもその価値観は高く『日本の灯台50選』にも選ばれている。
この明るさは、日本最大級といわれ、光度200万カルデラでレンズの大きさは大人の身長よりも大きい。
また、このスタイリスティックな灯台を設計したのは、日本の灯台の父と称される、英国人のリチャード・ヘンリー・ブラントンで我が国では26基の灯台を手掛け、尻屋埼灯台がその最後の仕事といわれる。
寒立馬の生い立ち
かつて下北地方には、野放し馬と呼ばれる比較的小ぶりで寒さと粗食に耐え、持久力に富む馬がいた。
この馬は南部馬(現在の岩手県に生息していた馬)を祖として、藩政時代から明治、大正、昭和にかけ、主として軍用を目的に外来種馬との交配によって改良されてきた。
中でも、当地尻屋では、この野放し馬をフランスのブルトン種と掛け合わせることによって、独自の種類を生み出した。
現在、南部馬の血を受け継いでいるのは、東通村の寒立馬だけとされ、200年以上におよぶ歴史の中でつくりあげられた馬は人々と共に歩んできた。
『寒立馬』名称の由来
古くから地元の人たちは「野放し馬」と呼び、特定の名前は無かった。
昭和45年、当時の尻屋小・中学校の校長先生であった岩佐勉氏(むつ市在住)が尻屋の人たちを前に短歌を詠んだ。
「東雲に勇みいななく寒立馬 筑紫ヶ原の嵐ものかは」
という歌であった。 それから、野放し馬は「寒立馬」と呼ばれるようになった。
ちなみに「かんだち」という言葉はカモシカが厳冬のなか、何日もじっとたたずむ姿を地元のマタギ(狩人)の間では「カモシカの寒立」と呼び、野放し馬にも同じような姿を見ることができることから「寒立馬」と命名した。
◇
今回は灯台見たさに訪れた尻屋埼だったが、寒立馬という珍しい放牧馬に会うという思いもよらない出来事があって、いい旅の思い出となった。
オマケ:青森県で見た灯台
灯台が好きなので、旅行中はできるだけ訪れるようにしているが、青森県には、見ごたえのある灯台があった。
■左から…尻屋埼灯台/龍飛埼灯台/大間埼灯台
3基とも『日本の灯台50選』に選ばれている。
オマケ:日本在来馬
むかしから日本にいた馬として次の8種類がいる。
・道産子(北海道) ・木曽馬(長野県)
・野間馬(愛媛県) ・対州馬(長崎県)
・御崎馬(宮崎県) ・トカラ馬(鹿児島県)
・宮古馬(沖縄県) ・与那国馬(沖縄県)
どの在来馬も一般に知られている競走馬と比べると体は小さい。
頭数が少ないので、絶滅が危ぶまれているが、動物園などで飼育していることもあるので、珍しい馬たちに会えるかもしれない。
尻屋崎周辺のMAP
尻屋埼灯台(所在地 青森県下北郡東通村尻屋崎周辺)
■尻屋埼灯台までの距離(車の場合)
・東通村役場…約33.7km(53分)
・青森県庁…約126km(3時間15分)
観光情報についての参考サイト
■ぐるりん しもきた
下北の観光総合情報サイト
■アプティネット
青森県の観光情報サイト