大学の創始者がつくった哲学堂公園(中野区)

趣が異なる公園を探しているのなら東京都中野区にある哲学堂公園はぴったりかもしれない。名称からも推測できるが、哲学をテーマにしている珍しい公園になっている。
哲学堂公園には見たいものがあったのでワクワクしながら訪れた。
公園だけど美術館のような哲学堂公園

名称から引き寄せられる哲学堂公園。調べてみると、天狗や幽霊、狸に鬼がいるという。「哲学がテーマなのになぜ?」と心をわしづかみにされたことが公園を訪れるきっかけ。最も興味をひかれたのは「幽霊」だった。

哲学堂公園には幽霊の彫刻があるという。幽霊なんてテーマパークのお化け屋敷にしかいないというイメージがある。それが公園にいるというので興味津々だった。
園内を探すと幽霊は「哲理門」にいた。天狗とペアで門の中に納まっていて、両者ともカラー塗装されてて思っていたよりしっかりとした造りで見ごたえがあった。


哲学堂には幽霊と天狗のほかにも会いたい彫刻があり、その2体もちゃんと見つけた。
1つは「狸燈」だ。彫刻の横には説明板があり、次のように紹介されていた。
狸燈
人間の心情には狸に類するものがありしかも、時には光輝ある霊性を発することもあるとして腹中に灯籠を仕込んである。

狸といえば「信楽の狸」の焼きものが思い浮かぶ。哲学堂公園の狸もそんなイメージをもっていたけど違っていた。おなかの部分は魚の口のようにぱっくりと開いている不思議な造形だった。
そして会いたかったもう1体は「鬼燈」。池の向こう側に鎮座していて遠目からだとよくわからかったので近くまで寄ってみた。
鬼燈にも説明板が設置されていて次のように紹介されていた。
鬼燈
唯物園の狸燈に対した燈籠で、人の心中に宿る鬼にも良心の光明は存することを寓している。

これまで訪れた先でいろんな彫刻を見てきたけど、鬼や狸との出会いは数が少ない。1カ所で珍しい2体を見れて得した気分になれた。
今回紹介したのは不思議系だけど、哲学堂公園にはほかにも見どころはたくさんある。公園の入り口に地図があるので最初にチェックしておくといいかもしれない。
公園についての説明板もあったので紹介しておく。
哲学堂公園(国名勝)
哲学堂公園は井上円了(一八五八~一九一九)が、その独特な哲学思想をもとに、全財産を投じてつくった社会教育のための公園です。
円了は「諸学の基礎は哲学にあり」とし哲学堂公園を開きました。それは、様々な理由で教育を受けられない「余資なく、優暇なき者」老若男女誰でもが学べる場、すなわち「精神修養的公園」と考えました。
ここで目指したのは、多様な価値観を理解し、先入観・偏見にとらわれない、論理的・体系的に深く考える人間の育成でした。
その方法とは「問う」ことであり「真理の追求」だったのです。そして、このような素養に満ちた人々による、社会の実現が円了の願いでした。
哲学堂公園は、現代にも通じる円了の思想を物語る歴史的遺産です。
令和三年三月 中野区教育委員会

【おまけ】公園をつくった方の墓所
哲学堂公園の近くに公園をつくった本人のお墓がある。ユニークな公園をつくった方のお墓はやはりユニークで、すぐに見つけることができた。中野区登録文化財になっており、次のように書かれていた。
井上円了の墓所
ここは、哲学堂を創った井上円了の墓所です。
円了は、安政五年(一八五八)現在の新潟県三島郡越路町に生まれ、哲学者であり、また教育者として、明治の中頃から大正にかけて多彩な活動をくりひろげました。
とくに、西洋哲学による仏教の新しい解釈にもとづいた既成仏教の革新、キリスト教の批判や迷信打破の運動は、わが国の文化史上特筆されるものといわれています。
また、哲学館(後の東洋大学)と哲学堂を創立したのは、円了が提唱する「護国愛理」をもとに学校教育と社会教育の振興をはかるためでした。こうして、国民道徳の普及と向上「考える人」の養成をめざし国家への報思を願ったといわれています。
円了は大正八年(一九一九)巡回講演の旅行中、中国大連市(現 旅大市)で病死し、東洋大学関係者の縁故で当寺に葬られました。井桁の上に円形の石をおいて井上円了の名前を表現した墓石のデザインは円了の生前の発意といわれています。
昭和五十八年三月 中野区教育委員会

哲学堂公園について

哲学堂公園
(所在地 東京都中野区松が丘1-34)
■哲学堂公園までの距離(徒歩の場合)
・新井薬師駅…約 0.908km(11分)
・落合南長崎駅…約 1.05km(13分)
観光情報についての参考サイト
■まるっと中野
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kanko/index.html
中野区公式観光サイト
■中野区 公式サイト
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/index.html
■GO TOKYO
https://www.gotokyo.org/jp/index.html
東京の観光公式サイト
